赤い結い紐
「あの……」

「はい!」

びくっとしたように身体全体で反応した彼女は、

機械仕掛けのおもちゃのように振り返る。

「なんだ、あんたか」

武がやっぱりか、と落胆を表すようにため息をつくと、それを見て、

「すいません」

小さく千珠が囁いた。

武は軽く首を左右に振って、隣に腰を下ろす。

「で、話ってなんなの?」

心配そうに見つめていたマスターが、黙って武の前にグラスを置いて去っていった。

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