赤い結い紐
その一生懸命な視線を受けて、レイラがピンライトの当たる玉の中心に向け両手をかざした。

二つの手に挟まれ輝く水晶球の中に、少しずつモヤモヤとした煙のようなものが浮かび上がる。

「そうだねぇ、あんたには特別に見せてあげようかしら。ちょっと不利だしね。

でも、あんたにも選ぶ権利をあげるよ。どうする? 見るかい? 

それともやめとくかい?」

妖艶(ようえん)に微笑みながらレイラが問いかける。

「何が写るの?」

普段のレイラとの違いに少しだけ身体を強ばらせて、千華が怯えたように訊きなおした。

「あんたが見たいと望んでいることだよ。

そのかわり、見てしまったら今の生活には戻れないかもしれない。

さぁ、どーする? 好きな方を選びな」

圧倒的な雰囲気をかもし出して、レイラが決断を迫る。

水晶球とレイラの顔を交互に見つめていた千華が、大きく息を吸ってコクリと首を縦に動かした。

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