赤い結い紐
武は男達の後姿をぼんやりと眺め、ひん曲がった鍬の先を見つめてから、またゆっくりと前を向いて歩き出した。

真っ直ぐに前を見るその瞳には、何の感情も写っていないようだった。


「なんで? なんで武が石を投げられなくちゃいけないの?」

「知りたいかい?」

「うん」

「じゃあ、見るかい?」

「うん」

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