赤い結い紐
「ひどいよ、こんなのって……」

レイラは黙って、水晶球が映し出す映像を眺めている。

火はどんどんと燃え広がり、小屋丸ごとを炎の中に包み込もうとしていた。

「ねぇ、助けてあげないと。武が死んじゃうよ」

レイラの腕をつかんで、千華が悲鳴をあげる。

レイラの身体が揺れると、同じように水晶球の映し出す画像が乱れた。

「いいから、黙って見てな」

レイラが険しい目をして、千華の顔をにらんだ。


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