あたしの証【完結】
「ごめん、あかり、俺ちょっと行くわ」

「うん、わかった」


だって。
ゆうやはオーナーで。
人気ホストなんだから、当たり前なんだろうな。


――――…ゆうやを目当てに来る子は。

ストレス発散だったり。
気晴らしだったり。
恋仲を求めてる子ばかりではないだろうけど。


でも。

本当に心からゆうやを好きで。
好きで好きでしょうがないって子もいるんだろうな。

……報われない想いってのは、どうしてこんなにも切ないのだろうか。



またあたしは無意識に…証に触っていた。

なつき。
なつき。






だめ。
泣きそうになるのを必死にこらえると、誰かがあたしのとこへやってきた。


「あれ?どうしちゃったの?」


さっきよりもちょっと顔が赤いさくやさん。
コールしてたとこにいたから、飲まされたのかな。


「何がですか?」

「なんか…泣きそう」

「………」



本当に。

あたしはなつきを好きになってから。
わかりやす過ぎてしょうがないみたいだ。


「そんなことないよ」

「ゆうやさん、すぐ戻りますから!
安心してください」

「……」


そっか、さくやさんはあたしがゆうや指名で、ゆうや目当てだと思ってるんだ。
いなくなったから泣きそうになってるとか思ってるんだ。
否定しとくか、悩むな。
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