あたしの証【完結】
「飲まないの?」

「あ、うん。未成年だし」

「え!いくつ?」

「19」

そう言うと、さくやさんは目を見開いて大袈裟に驚いた声を出す。


「えええ!見えない」

「老けてるってこと?」

「え、いや、綺麗だから」

「それってホストの殺し文句?」

「え?違う、違くって本当に綺麗だと思ったから。
ゆうやさんにぴったりだなって」

「ゆうやに…?」

「いや、まじこんなこと言ったの忘れてください。
ゆうやさんにばれたら殺される」

「あははは。
ゆうやはそんなことしないよ」

「ええ?ゆうやさん、キレるとまじ怖いし」

「そ、そうなの?」

「キレたとこ見たことないっすか?」

「うん、ない」


ってか、会ってまだ一日。
あたしが寝てた日も含めたら三日?


「……いや、思い出すだけでもあの瞳は怖い」

「瞳…?」

「ゆうやさんって、基本的人と距離置くっていうか。
俺、もうここ一年なんですけどね。
ゆうやさんがまじで笑ってる姿、一度も見たことなくって。
どんな女といる時もそう。
だけど、さっきゆうやさん見た時すげー優しい笑顔してて」





優しい笑顔。
きっと。



りなさんのこと話した時だろうな。


「だから、あかりちゃんがマジカノなんだって思った」

「マジカノ…?」


何、マジカノって。
マジでない彼女とかいるわけ?


「ほら、…言いにくいけど俺達ホストって夢を売る商売でしょ?
友達以上恋人未満のギリギリを保ってるから…
中には勘違いしてストーカーになったりするし、他の女と揉めたりするし」


「って…俺、ゆうやさんのお客さんに何話してるんだろ」

「……続き聞かせて」

「え?」

「続き聞きたい。
あたし、ゆうやのこと何も知らないから」

「そ、うなんですか?」

「うん、あたしゆうやのこと何も知らない。
これからのために知っておきたいから」

「……初めて会ったのは」

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