あたしの証【完結】
「連絡待ってる」

「あ、はあ…」


あたしが呆気にとられてると、さっさと彼はどこかに消えてしまった。

それをボーっと見ている暇なく、あたしはすぐに次のお客さんの接客に入って、いつしか彼のことは頭から消えていた。



なつお。
彼の中学時代のあだな。

彼はとっても太っていて、年中汗をかいていた。
毎日真夏日みたいだから“夏男”。

いじめの対象になってたりもした。
後に彼は転校してしまうんだけど、どうして転校したとか、詳しくはなかった。

ああ、転校したんだ。
それぐらい。

あたしは完璧いじめの傍観者だった。


はっきり言えば興味がなかった。

あたしはいつだって被害者だったから。



完璧、悲劇のヒロインだったんだって。




「なつお。かあ」
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