あたしの証【完結】
「…………」
ペチペチと、何かが頬に当たる。
…誰かに頬叩かれてる…?
俺はぼーっとしながら薄目を開けた。
……誰だ?
そこにいた人は。
金髪の長髪をサイドに流してて。
少し吊りあがった瞳。
片方の耳に光るピアス。
真っ白なスーツ。
どこからどう見ても…俺がなりたかったホストそのものだった。
「だいじょーぶ?」
無表情で俺に話しかけるその男。
「……あーはい」
「……」
俺の無気力な返事にそいつは立ち上がり、踵を返す。
そして、立ち止まり。
冷たい瞳で俺に言った。
「…もう、こっから帰りな」
「……ど、ういう…」
こっから…?
「ここはあんたのいるとこじゃない」
「……」
意味がわからねえ。
なんだ、こいつ。
初対面なのに、いきなり。
俺がどんだけ頑張ってるか、わかってねーくせに。
どんな思いでここに出てきたかわかんねーくせに。
酔ってたのもあって、俺はそいつに殴りかかった。