あたしの証【完結】
「あたしはね」

黙ったままのゆうや。


「ゆうやとりなさんから勇気をもらったの」

「……」

「知ってると思うけど…。
あたし、なつきに振られたの。
それもこっぴどく」

こっちを見ることも、頷く事も、相槌を打つこともない。
だけど、聞いてくれてるのはわかってる。


「なつきはね、あたしのことなんか好きでもなんでもなかったの。
最初から復讐が目的だったの。
あたしだけがなつきに惚れて、なつきと未来を信じてたの。
なつきはこれっぽっちもあたしのことなんか見てなかったのに」


話しながら、またあたしは無意識にその証を触る。
自然と涙が溢れる。

そして。
またも思い知らされる。





あたしはまだこんなにもなつきが好きなんだ。
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