あたしの証【完結】
「ねえ、ゆうや」

「ん?」

頬杖をつきながら、あたしに視線だけ寄越す。


「今度彫って欲しいんだけど」

「あ?」

「あ、もちろんお金払うから」

「……いや、金はいいけど。
どうした?」

「あたし、綺麗に彫ってもらいたいんだよね」

「いいのか?」

「うん」


そうかと、静かに呟くと吊りあがった目を下げてゆうやが微笑んだ。
それから、仕事に行くために準備を始める。



「じゃ、俺店行ってくるわ」

そういうとゆうやはりなさんに軽くキスをした。

もう、何回も見てるそのやり取り。


だけど、あたしは顔が紅潮するほど恥ずかしくて。
…そして嬉しくて。

ゆうやに負けじと、優しい顔で微笑むりなさん。




余計なお世話なんだろうけど…

あたしはこの二人を切り裂こうとするものがあるなら絶対許さないと思った。

絶対あたしが守ろう、そう思った。
何が出来るかわからないけど。


でも。
二人を守ろうって。

本当に余計なお世話だろうけど。
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