あたしの証【完結】
その携帯を充電して電源を入れる。
久しぶりのこの携帯。





解約したっけ、これ。
そう、考えてると画面がメール受信に切り替わる。



「え?」


そう、声を零した時には携帯が震えていた。


受信一件。




…………


あたしはドキンドキンと、うるさく鳴る鼓動を抑えられなかった。
…押して…いいのかな。




受信…相手は。




なつき。






その名前を見た途端、あたしは泣き出しそうになった。

必死に涙を抑えて。
どうにか、あたしは携帯を閉じた。




見たらいけない。
もう、あたしは前に進んだんだ。





奥底になつきを封印したんだ。
自分で封印したんだ。



無意識にあたしは証のあった場所を触る。
そして前とは違う感触に少し戸惑い、苦笑した。


そして携帯をまたタンスの奥深くへとしまった。


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