あたしの証【完結】
「なんか、変わってないね。木下さん」

「そ、そうかな。なつおは変わったね」


その言葉になつおは、少し暗い瞳をする。


…え?
そのあまりにも冷たい瞳にどきりとした。


でも、すぐにさっきのなつおになり

「そうかな?」

と笑っておどけてみせた。
それにホっとしたあたしは、軽い口調でなつおに言う。


「うん、だってちょー痩せたじゃん。最初まじでわかんなかった」

「そりゃそうだよね。俺、あん時三桁いってたし」

「嘘!?まじで?」

「まじでまじで。てか、ここで話すのもなんだし、ファミレスでもいかない?」

「あ、えと」

「そういえば親、厳しかったんだっけ?」


それは昔の話。
あたしがまだ期待をかけられてる時の話。


「…大丈夫!行こう!」


どちらかと言えば家にいたくない。
だから、あたしは毎日親が寝静まる時まで時間をどこかで潰す。
どこだっていい。
公園だって、漫喫だって、カラオケだって。


「…じゃ、行こうか。」


なんか言いたげななつおだったけど、何も言わないでくれた。
触れないでくれた。


あたしも、そうして欲しかったから。
助かった。
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