あたしの証【完結】
「落ち着いたか?」

「……う、ん」

泣き過ぎた所為で、酷いだみ声になったあたしは静かにそう答える。


「じゃあ…出かけるか」

「…どこ…へ?」

「俺の店」

「へ?」

「今日、りな遅いし、お前一人にすんの心配だわ」

「……あり、がと」


今日はその優しさに甘えよう。
これぐらいいいんだよね…?


あたしは促されるまま、メイクをして洋服を着た。
ゆうやの店には一年前のあれきり行ってない。

今日のあたしは普段のあたし。
初めて行った時みたいな華やかさはない。

ゆうやといて変じゃないかな…。


泣きすぎて腫れた目。



ゆうやはあたしを見ると、何も言わずサングラスを出してくれた。


一年前のあの日のように。




あたしは。
あの日から何も成長していないような気がしてしまう。


なつきにこっぴどく振られたあの日から成長するのを拒否してるような。
そんな感じがしてしまう。



ゆうやにりなさんがあまりにも大きな存在だから余計。
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