あたしの証【完結】
「…………きょうさん」
友達と一緒に歩いていたきょうさんがいた。
「やっぱりあかりちゃん!」
にっこりしながらあたしに近寄った。
「ああ、ごめん、俺この子に用あるからまた連絡する」
「ええ?彼女かー?」
「ちげーよ、んじゃ」
けらけら笑いながらきょうさんは友達に手を振っていた。
あたしは目をぱちくりとさせてきょうさんを見る。
「久しぶり!」
「久しぶりです」
「なんか、あかりちゃん、めっちゃ綺麗になったね!?
まさか、恋してる~???」
「あ、は、あはは」
「お、その反応は彼氏いる?」
「ええ、はい」
「そっか、そうか。
よかった」
「え?」
「いや、さ。
俺ね。
知ってたんだよ」
知ってた?
「俺もこの業界長いし、意味とか知らないわけじゃないし。
だから、なつからはなんも聞いてなかったけど。
あかりちゃんがきっと、憎んでる子なんだろうなってことはさ」
「…」
そうか。
きょうさんはAkariって名前の下に一輪の薔薇が彫られてて、その意味なんて。
知ってて当然なのか。