あたしの証【完結】
「もう、消しました。
あたしが消しました」
「………そ、っか。
そうか。もう、あかりちゃんは前に進んでるんだもんね。
ごめんね、呼びとめて。
気を付けてね」
きょうさんはあたしの頭にぽんと手を置いてから、またこの街に消えて行った。
………あかりちゃん…
“は”……?
きょうさん。
どういうことですか?
それって。
どういうことなんですか…?
理由なんてないのかもしれない。
問いただしたくても、当の本人が既に消えていて聞くことすら出来ない。
そんなことを一生懸命考えても答えが見つかるわけもなく。
ただ、時間だけが過ぎていった。