あたしの証【完結】
怒ってるかな。
当たり前かな。
でも。
今だけは帰りたくなかった。
なつき。
“は”って。
今、なつきは前に進んでないの?
きょうさんとの再会は、あたしをもやもやさせるだけだった。
晴れない霧みたいな。
うっすらとあたしにベールをかけてしまったみたいで。
れんが到着した時も、あたしは暫くれんの声が聞き取れなかった。
腕を掴まれて、やっとれんが来たんだと気付く。
「…帰るぞ」
「うん」
れんに掴まれて、ほっとしたような気持ちになる。
そんなあたしは。
色々と、勘付いていたのかもしれない。
だけど。
必死にそれに気付かないように。
あたしは目を閉じていたんだ。