あたしの証【完結】


怒ってるかな。
当たり前かな。


でも。
今だけは帰りたくなかった。




なつき。




“は”って。


今、なつきは前に進んでないの?



きょうさんとの再会は、あたしをもやもやさせるだけだった。
晴れない霧みたいな。
うっすらとあたしにベールをかけてしまったみたいで。




れんが到着した時も、あたしは暫くれんの声が聞き取れなかった。
腕を掴まれて、やっとれんが来たんだと気付く。




「…帰るぞ」

「うん」


れんに掴まれて、ほっとしたような気持ちになる。
そんなあたしは。



色々と、勘付いていたのかもしれない。


だけど。
必死にそれに気付かないように。
あたしは目を閉じていたんだ。

< 226 / 329 >

この作品をシェア

pagetop