あたしの証【完結】


「あかり」


タクシーに乗り込んでからも、れんはあたしの手を握り締めて離さない。
もう、れんから怒ってる雰囲気は読み取れない。


だけど。
代わりに切ない空気がれんを纏っていた。


「あかり…」


何度も繰り返して名前を呼ぶれん。
あたしは。
どうしてもそれに答えることが出来なくて。


「…れ、ん」


やっと一言。
れんと絞り出すことが出来た。

部屋に着いてからもそれは変わらなくて。

不安げにあたしを見るその瞳を安心させてあげたいのに。
今のあたしには無理そうだ。


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