あたしの証【完結】
「…うん」

「よかったー!俺、あかりの番号聞いてないの帰ってから気付いて」

「あはは。本当に!焦ったんだから…ね」

「電話くれてありがと。てか、何でワンコールで切るんだし」

「それは…」

「ま、いいや。こうやって話せてるし」


なつおは他愛もない話をたくさんしてくれた。
あたしは相槌うったり、たまに笑ったり。

気付いたら一時間も話していた。



「あ、もうこんな時間。ごめん、長々と。明日だけど、本屋はあるの?」

「明日は休みだよ」

「まじ?じゃあ、一日フリーなの?」

「え、ま、まあ」

「明日、11時に家に迎えに行く。準備しといて」

「どこに行くの?」

「明日考える。だから、よろしく。おやすみ!」

「え?ちょ、ちょっと!」


あたしが反論する前に、なつおは勝手に電話を切ってしまって。
耳に聞こえるのは、ツーツーという音のみ。



「………」


な、なんて強引。
なつおって。
こんなキャラだったっけ?
こんなに強引だった?

変わったの?

わからないけど。



だけど。
あたしは今日ぐっすり眠れそうだ。
久しぶりに。

そう、思いながら目を閉じた。



その日はいつぶりだかわからないぐらいに。

幸せな眠りについた。
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