あたしの証【完結】
「俺が縛りつけてるせいで、あかりが苦しんだりするのは嫌だって。
やっと。
やっとそこで思えた。
それまで、俺独りよがりだったよな。


だから、あんな態度とってごめんな」



れんはコーヒーカップを片手に持って、あたしの頭を軽く撫でる。
そのまま髪の毛をすく。
そんなれんは昔のれんのままで。




「あんな言い方しないと、俺あかりのこと抱きしめそうだった。
お見舞いに行ったら、俺の決意が鈍りそうだったから。
連絡取ったら、あかりに会いたくなる。
メールしたら声が聞きたくなる。
声を聞いたら会いたくなる。
会ったら抱きしめたくなる。
抱きしめたら…離したくなくなる」


いつだってれんはこんな…こんな綺麗な告白をしてくれるんだ。



「本当に身勝手でごめんな」



れんの壮大な優しさがあたしには痛くって。
れんはこんなにもあたしのことを想ってくれてたのに。
あたしときたら、また被害者面して、なつきに連絡取って。
そんで、会う約束までして。
そんで…振られて。




なんて滑稽で惨めだ。
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