あたしの証【完結】
あたしの父親は一流企業の重役。
毎日毎日、朝早く出かけては夜まで帰ってこない。
取引先との付き合いで休日は埋まっていたし、あたしは物心ついた頃から父親と会話なんかしてない。

家族は後回し。
完璧な仕事人間。


母親は一人っきりで育児してきた。
母親の両親は他界してたし、父親の両親は母親に厳しくて。


だから、母親の子供は秀でてなくてはならなかったんだ。


中小企業の一、OLだった母親の子供は優秀な夫と見合うように。



だから、母親はあたし達が希望だったんだ。

その希望をあたしが壊してしまったんだ。

だから、あたしは母親に愛される資格がないんだろうな。



至って平凡で。

だけど、あたしこれでも…
認められたくて頑張ってたんだよ…?

あたしがたまに満点とったって。
姉が全部満点だったら霞むに決まってるじゃない。

あたしがたまにリレー一位とったって。
弟が全国で一位とったら霞むに決まってるじゃない。




…ああ。
シャワーでこのぐちゃぐちゃな思いも流してくれないだろうか。




私は儚い願いを心の中で呟いた。
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