あたしの証【完結】


4万、半年もしないで貯められるかな。


なつきに会えることだけを考えてあたしは仕事と家を往復した。
今月の給料は、ゆうやのお見舞いだなんだって休みがちだったから少ないだろう。
もっと詰めないとな。




もちろん、その間ずっとなつきから連絡はなかった。



あたしからすることもなかった。
だけど、毎朝なつきから連絡が来てるんじゃないかって期待して起きて、がっかりすることはもう、あたしの日課だった。



刺青を彫ってもらったらもう、なつきに会う口実はなくなるだろう。


それできっと、顔を見ることすらなくなる。
だけど、それでもよかった。


あたしはなつきから証を貰えたら生きて行ける様な気がしたから。
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