あたしの証【完結】
ああ、身長少し伸びた?
髪の毛、伸びたかな。
なんか、大人っぽくなってる。

三年ぶりにみるなつきは前よりももっとかっこよくなっていて。



頭で描いていたなつきよりも、もっともっと素敵で輝いていて。





「……な、つき」




絞り出すように名前を呼ぶと、なつきの肩がびくっとする。
それに我に返ったなつきは、あたしの腕を掴んで外に飛び出した。


扉が閉まるのを確認すると、あたしの顔を見ずにまたあの低い声で言う。


「何しに来た?」



それに少し怯んでしまうあたしだったけど、でも、これで最後だから。
そう言い聞かせてあたしはなつきに向き合った。



「彫って欲しいの」

「…は?」

「なつきに彫ってもらいたいの」

「……断る」



あたしの一生の願いもなつきは簡単にあしらう。
だけど、食い下がるわけにはいかない。
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