あたしの証【完結】
沈んだ気分で風呂を出て、簡単に髪を乾かした。
後でまたしっかりセットしよ。
部屋に戻ろうと踵を返した時、リビングから出る母親と対面してしまった。



綺麗に身支度されてる母親。
いつもよりフォーマルな洋服。
これからきっと上司の奥さんとかと出かけるんだろう。

目は合ったが、笑顔になることなく。
お互い無言のまますれ違った。







ねえ。
誰が。





母親は無条件で愛をくれるって言ったの…?





家族ってかけがえのないものだって。
大切にしなきゃいけないって。



だけど。

拒絶されすぎてしまったら。

しまったら……

どうしたらいいの……………?




あたしは甘え方を知らない。


一刻も早く家を出たかった。
母親は出かけてしまったのかもしれないけど、こんな家にいたくなかった。
早々とメイクを済ませ、あたしは予定より一時間も早く家を出た。


何の予定もないままあたしはコンビニへ向かった。




それが。
あたしの歯車をもっと狂わしていく。
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