あたしの証【完結】
約束の時間。



なつおはいた。




あたしの家の前で、塀にもたれながらうつむいている。


その横顔に、きゅんきゅんするあたしがいて。





胸に広がる不安をぬぐい切れないまま。
あたしはなつおに会うんだ。




あたしに気付くなつお。

ほっとしたような。
嬉しいような。

複雑な表情をして。




「…電話」

「……へ?」

「何回もしたのに何で出ないんだよ」




…あ。
携帯のことなんか頭になかった。


「ご、ごめん」

「どこ行ってたの?」

「…ちょっとコンビニに」


動揺を悟られないように、会話を終わらせる様にあたしは笑顔で言った。


「どこ行こうか!!」



なつおはまだ何か言いたげだったけど

「とりあえず駅方面向かおうぜ!」

そう、あたしの隣で笑顔て言ってくれた。
< 33 / 329 >

この作品をシェア

pagetop