あたしの証【完結】
――――――………


三か月も付き合ってたのに初めて入るなつおの部屋。
いつもどこか外で会っていたから、あたしは妙に緊張する。


そういう風にならないようにって、あたしが自然と外に出ようとしてたのもあるかもしれない。

なつおと誰もいない部屋で二人きり。
カラオケの個室とは訳が違う。


当たり前の様に、なつおに部屋に通される。


なつおは最近、ここに引っ越したらしい。
両親は反対したけど、自立したいと思っていたなつおは一人暮らしに踏み切ったんだって。
彫師ってのにも反対をされてたから、当たり前と言えば当たり前なのかな。


なつおの部屋は1DKで、男の一人暮らしの部屋にしてはとても綺麗だった。
…と、いうよりも殺風景なのかな?
ベッドとテーブルと、必要最低限の家具しかないその部屋。
黒を基調にしてるから、余計そう思うのかな。



ただ、タトゥー雑誌はたくさんあった。
あたしはリビングにあるテーブルの前に座ると、ブックエンドに綺麗に整理された雑誌を一冊取る。

それから、ぱらぱらとページをめくった。
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