あたしの証【完結】
「………何でモトカノが…?」


そう、ぽつりと呟く。

あたしに気付かず、あたしとは反対方向へと歩くその後ろ姿。
見間違えるはずがない。
間違いなく、姉キャン。


…えと、名前はしほさんだっけ?
名前だけなつおから聞いたんだっけ。
詳しく聞く前にはぐらかされてしまったから、あたしはそのままにしたんだけど…。



“なつおに惚れたら泣くことになるよ?”



ドクンとあたしの心臓が波打つ。
惚れたら…泣く?



ねえ。
それって浮気ってこと?



あたしは鳴りやまない心臓の音に嫌気がさして、早くなつおの部屋に行きたくなって。

小走りでなつおの部屋に向かった。
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