あたしの証【完結】
暫く、その場で放心してると携帯が鳴っているのが聞こえた。

公園に設置されている時計を見ると、なつおのバイトが終わった時間だった。


ゆっくりとカバンから携帯を取り出し、それを開く。
液晶には愛しい人の名前が照らし出される。





「………」



“泣くことになるよ?”




ねえ、しほさん。
なつおとまだ繋がってたから…?

だからそんなこと言ったの?



「…っ…」


あたしはなつおの着信が収まるまで待ってから携帯の電源を切った。

家に帰りたくないな…。
でも、どこへ行こう。




なつおがいないと、あたしって本当に孤独なんだな。
なんか、情けなくて笑えてきた。



「ははは…」



あたしってなんだったんだろう。


なつおのなんだったんだろう。




その答えが見つかるはずもなく。
あたしはぼーっとそこにいることしか出来ない。



涙を零す、あたしは無意識に触っていた。
あたしとなつおの証。


それに気付いた時に、ハッとした。


…そうだよね…
あたし、あの日。
なつおと永遠を誓ったんだ。

なつおにはあたしの名前が入ってるんだ。

なつおを信じなきゃ、あたしは一生変われない。
そう、思った。


信じてみよう。
なつおを信じて…みよう。


何かの間違いかもしれない。

なつおに聞いてみるしかない。
そう、決めたあたしは携帯の電源を入れた。
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