あたしの証【完結】
電源を入れると同時に鳴る携帯。
あたしはそれにびっくりして、携帯を掴む手が緩み、地面へと落としてしまった。

液晶に映し出された名前。

もちろん。
相手は…なつお。




「……なつお…」


独り言を呟くと、ドキドキしながらあたしは通話ボタンを押した。


「…はい」

「あかり?!どこいんの?!」

「………近くの公園」

「わかった、今すぐ行くからそこいて」


それだけ言うとあたしの返事も待たずになつおは電話を切った。



なつおが来る。
なんて言われるかな。
なんて…言おうかな。

なつおはどんな顔をするのかな。



わからなくて。
不安で。
あたしはまた押し潰されそうになる。

そんな時は…
あたしとなつおの証を触るんだ。

どうしてだろう。
自然と気持ちが落ち着いてくる。



うん。
話せる。
大丈夫。




気持ちが落ち着いたとこに、なつおが現れた。
息を切らしてこちらに駆けてくる。


額には汗が街灯に照らされてキラキラしていた。


うまくなつおの顔が見れない。
なつおが来た途端、またあたしは心臓がバクバクしてしまって。
頭が真っ白になっていた。
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