あたしの証【完結】
「あら?起きたの?」

そう声をかけてきたのは、いかつい姿の男の人。
扉の前に立っていた、その人はあたしの方にゆっくりと向かってくる。


「………」


涙を流しながら真っ直ぐとその人を見た。
その人はあたしの目の前まで来ると、目線を合わせるようにしゃがみこむ。

それから、ゆっくりと微笑む。


「いい瞳ね。
あの人が気になったのわかる気がするわ」


見た目と似ても似つかないその喋り方。
よく見ればほんのり化粧してる気がする。
…おかま?



「…あの…ここは…?」


あたしの問いにああ!って思い切り手を叩きながら説明してくれた。


「あのね、貴方ゆうやに拾われたのよ」

「……拾われた…?」

「そう!貴方、二日前公園で死にそうになってたんでしょ?」


二日前…?


「あたし、二日間も寝てたんですか?」

「そうよ!本当に死んだかと思ったわよ!」


あはははとその人は豪快に笑いながらあたしの目の前にある椅子に座った。


「死にそうなあんたをゆうやは拾った。
ゆうやは本当にいい男よ。
まあ、女には興味がないけどね」


ふふふと笑って、そのおかまさんはどこかへ行ってしまった。
あたし、おかまさんに拾ってもらったの?
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