あたしの証【完結】
「俺はゆうや」


名前を聞いてあたしは耳を疑う。

ゆうや…?
あのおかまさんが言ってた女に興味がないっていう人…?


「…………」


口をぽかんと開けて彼を凝視すると、彼は訝しげな顔であたしを見た。


「そっちの名前は?」


あたしはそれを聞いて、自分が名乗ってないことに気付く。
そして、一応助けてくれた彼にお礼を言ってないことにも気付いた。


「あたしは…あかり…。
あの……ゆうやさん。助けてくれてありがとうございました」

「…助けない方がよさそうだったけど?」



彼はにやりと笑うと、おもむろに立ち上がりクローゼットを開けてあたしに何かを投げてきた。
< 85 / 329 >

この作品をシェア

pagetop