あたしの証【完結】
りなさん、本当にゆうやはいい男だね。
二人が本当に羨ましいよ。


運命の人ってあたしはずっと信じられなかった。

だけど、なつきに逢って。
あたしの運命の人はこの人なんだ。
そう、思えたんだ。

だけど、それは脆くも崩れ去ってしまって。


そんなあたしの中で二人は輝いて見えた。



「暇だし、少し早いけど出るか」

「どこ行くの?」

「さあ?」


にやりと笑うゆうや。
不思議と不安は感じない。


この人は嘘はつかない。

なんか、そう確信というか、そんなのがあった。


「その格好はさすがにないからこのシャツと、ジーンズな」


男物のシャツとジーンズ。
ゆうやは細身だけど、やっぱりあたしにはぶかぶかだった。



それからゆうやはおもむろに携帯を取り出し、どこかへ電話をした。


「…あーりな?今から出かけるから」

相手はどうもりなさんのようだ。
買いだしに行ってるりなさんにわざわざ報告するなんて、やっぱり二人は凄いな。


「ああ、あかり連れてくわ。
え?ご飯は作っておいて。
帰ったら食べたい。
あかりは俺と帰るから。
うん、うん。
………愛してるよ」



どきっとした。
ゆうやのその、優しい笑顔。
愛してるって言葉。


行くぞと行って、部屋を出るゆうやを急いで追う間もあたしはずっとドキドキしていた。






純粋で。
汚れが無い心ほど。

傷付いた時の傷は深くて。
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