あたしの証【完結】
ゆうやの後ろにくっついて歩く。
それから、ゆうやの車の助手席に乗り込んだ。

きちんと見てないけど、きっと高級車。
違う意味でドキドキする。

ゆうやは車を出しながらタバコを銜えると火を点けた。


「俺、女乗せたのあんた初だわ」


あたしのことを見ないでそう言うゆうや。
その横顔を見て、これで惚れない女はいないんだろうなと、思った。


「いい、んですか?」

「何が?」

「あたしで」

「んー…あかりはなんか、違うってゆうか」

「違う?」


タバコをふかしながらゆうやは渋い顔をする。


「俺の客みたいな女とは違うとゆうか」

「…ふーん」

「だって、あんた俺に興味ないっしょ」

「へ?」

「会う女はほとんど俺に抱かれたがってる。
俺はそれが煙たいんだよね。
昔からだから、もう、そりゃ女嫌いになるわ。」


くくくっと笑うゆうや。


「あたしは平気なの?」

「うーん…なんか。
俺の直感?
いい意味で、こいつは大丈夫だって」

「……」

「あんたが想像以上に俺モテるから」


初めて聞いた、モテるとか自分で言う人。
だけど…本当なんだろう。



「俺の初めて聞きたい?」


あたしが返事をする前にゆうやは続ける。
目をぱちくりとさせてゆうやを見つめた。


「ねーちゃん」

「?!」

「ま、ねーちゃんって言っても連れ子だし、血は繋がってねーけど。
俺、まだ小学生だったんだぜ?
笑えるよな」



そう言ってたけど…。
ゆうやの目は笑ってなかった。
きっと辛い過去だったんだ。
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