Bloom ─ブルーム─
そして、たった今、失恋したばかりなんですけど。

その心を支配するナナさんという存在によって。

そんな私は、完全なる不完全燃焼。

「え……」

長谷川大樹は気づいただろうか。

私の述語だけ並べた言葉の意味。

もしかしたらそんなことを言う前に気づいてた?

でも、気づいてて『恋してマスか?』なんて聞いたんだとしたら、性格悪すぎ。

長谷川大樹がどんな顔をしてるのか、見るに見れない。

けど、いつまでも何も声をかけてくれない彼は、きっと戸惑ってる。

「や、やっぱり、バスで帰ります!見たいテレビがあったんだった!急がないと間に合わないし」

長谷川大樹と目を合わさないように、足元だけを見ながら話すと、私はそのまま一目散に逃げ出した。

何言っちゃったんだ?私!

何を言っちゃったんだ!?

何やらかしちゃってるんだ?

急に我に返って、かなり後悔!

「里花ちゃん、ちょっと待って。急ぐならチャリ貸すし」

でも、かなり急いで走ったのにもかかわらず、チャリに乗った長谷川大樹に簡単に追い付かれてしまった。

「ね?使っていいよ?俺は由紀ちゃんに借りるからさ」

彼の指差す方を見ると、そこには昨日立ち寄ったラーメン屋さんがあった。
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