Bloom ─ブルーム─
「ねぇ、友里亜……」

「ん?」

こんなのは、私のキャラじゃない!って、私の中でもう1人の自分が止めるけど。

「髪……どうやって巻くの?」

何、乙女になって聞いてるんだ、私?って、もう1人の自分が突っ込むけど。

巻いたところで、友里亜みたいに可愛くなれるわけないって、痛いくらいわかってるんだけど。

「これ?これはアイロンでクルクルと。あ、明日持ってきてあげる。持ち運び用の小さいアイロンあるんだ」

「……うん」

それで何かが変わるわけじゃないけど。

「でも、たまにこうしてまとめるのも可愛いよ?里花、本当何もしないもんね。たまに寝癖ついたままの時もあるし」

「うっ」

確かに、肩まで伸びた髪はちょうどハネやすくて、面倒だから直さないで学校来てた。

内や外にはねてる髪を、友里亜は手首にしていたシュシュでそっと纏めてくれる。

顔周りは自然に落とすのが、小顔効果だって。

そのままで小顔の友里亜に言われてもあんまり信用できないけど。

「うん、可愛い!」

胸ポケットから鏡を取り出した友里亜は、それを私に見せてきた。
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