Bloom ─ブルーム─
バタンッ。

大きく風を吸い込んで心を洗ってる時、突然ドアの閉まる音が聞こえた。

振り返ると、さっまで期待していた人がそこに立っていた。

「あれ、先越されちゃった」

「先輩……」

「いい天気だね。予報では午後から雨ってなってたけど」

そう言って歩み寄る長谷川大樹。

また、ドキドキが止まらなくなる。

「先輩、授業は?」

「そのセリフ、そっくりそのままお返しします」

あ。

私もサボりの途中だった。

「チャリないの忘れててさ、いつも通りに家出たら焦ったー。バス行ったばっかりだったし、仕方ないから歩いてきたら遅刻しちゃった。

しかも昨日ここの鍵かけ忘れたの思い出して、遅刻ついでに来てみたんだ。

まさか、先客がいるとは」

「すいません」

昨日の今日……動揺するなって言う方が無理な話。

まともに長谷川大樹の顔を見れない。

目をそらして、飛行機雲を見上げた。

「可愛いね、髪」

さっき友里亜に纏めてもらった髪……忘れてた。

可愛いだなんて、そんなセリフは特別な女の子だけに言ってください。

なんて、言えないけど。

私は聞こえないふりをして、空を見上げてた。
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