Bloom ─ブルーム─
蝉の鳴き声が煩く感じられて来たこの頃。
ヘアアイロンを使うことにだいぶ慣れた。
真っ黒だった髪を少しだけ栗色に染めたら、『似合うね』って大樹先輩が笑った。
この間友里亜と一緒に作ったミサンガは、まるで切れる気配もなく、手首で揺れてる。
友里亜は「山本先輩の夢が叶いますように」ってお願いしていた。
私の願いは──
「腹減んない?」
「減ったー!」
「んじゃあ、ラーメン食ってこー」
「うん!」
あれからなぜか毎日チャリで一緒に帰ってる大樹先輩に、ため口が増えていた。
由紀ちゃんのラーメン屋はもう顔パス。
バンドのメンバーにもだいぶ打ち解けてきた。
言葉数少ないドラムの威圧感には怯えたままだけど。
ミサンガに託した私の願いは……『可愛い女の子になれますように』
本当なら、私も友里亜と同じように彼らの夢が叶うように願うべきなんだろうけど。
それか、好きな人の幸せを願ったりするものなんだろうけど。
でも、そこまで私はいいこじゃない。
少しくらい、好きな人の前で“女の子”でいたい。
それくらのこと願っても、バチは当たらないでしょ?
ヘアアイロンを使うことにだいぶ慣れた。
真っ黒だった髪を少しだけ栗色に染めたら、『似合うね』って大樹先輩が笑った。
この間友里亜と一緒に作ったミサンガは、まるで切れる気配もなく、手首で揺れてる。
友里亜は「山本先輩の夢が叶いますように」ってお願いしていた。
私の願いは──
「腹減んない?」
「減ったー!」
「んじゃあ、ラーメン食ってこー」
「うん!」
あれからなぜか毎日チャリで一緒に帰ってる大樹先輩に、ため口が増えていた。
由紀ちゃんのラーメン屋はもう顔パス。
バンドのメンバーにもだいぶ打ち解けてきた。
言葉数少ないドラムの威圧感には怯えたままだけど。
ミサンガに託した私の願いは……『可愛い女の子になれますように』
本当なら、私も友里亜と同じように彼らの夢が叶うように願うべきなんだろうけど。
それか、好きな人の幸せを願ったりするものなんだろうけど。
でも、そこまで私はいいこじゃない。
少しくらい、好きな人の前で“女の子”でいたい。
それくらのこと願っても、バチは当たらないでしょ?