Bloom ─ブルーム─
「俺らのバンド名だよ。最初全員の頭文字とってつけてたんだけど、俺以外全員納得してなかったからさ」

そして、近くにあったコップの水滴を指にとると、テーブルに「大樹のD、明宏のA、勇のI、健のK」と書き出した。

「あ」

本当だ。頭文字を取ると、DAIK。大樹先輩の名前みたいになるんだ。

「ね?だから、みんなブーイング」

そう言って先輩はククッと笑っていた。

「じゃあ、ブルームは?どうやってつけたんですか?」

「俺らの名前からじゃダメなら花子だろってことで、花子の“花”をもらったんだ。ブルームって、英語で花っていう意味だから」

「それだけ?」

案外テキトーだったりするんだ?

「そ。ゆきちゃんの名前ももらうか?って言ったら、健が『どんなけマザコンなんだよ?』って怒ったから」

「ふふふ。本当にみんなここが大好きなんですね」

ゆきちゃんのラーメンも、花子も、ラーメン屋の2階も。

みんなにとって大切な場所なんだ。

「ここが、俺らの出発点だからね。ここで俺らはバンドを結成したんだ。だから、忘れたくない。花子も大事なメンバーだし。

けど、Bloomの決め手は明宏の言葉かなぁ」

「なんて言ったの?」

「“俺らは俺らの花を咲かせるんだ”」

言ってから

「あれ?なんかくさいね?サムッあのときは結構マジで感動したはずなんだけど、改めて言うとサムッ」

なんて照れてる。

けど、私はちょっとだけカッコいいって思ってしまった。
< 143 / 315 >

この作品をシェア

pagetop