Bloom ─ブルーム─
「うるせぇな、本当しつこいから」
「だって好きなんだもん。いーじゃん。ね?一緒に帰ろ」
夏休み明け、下校時刻になると、毎日こんなやり取りが直人と杏奈の間で行われてる。
けど、全否定だった直人が、最近は3回に1回「しょうがねぇな」って杏奈に負けるようになってきたんだ。
ちょっとした進歩?
「ったく。しょうがねぇな」
ほら。今日も杏奈の勝ちだ。
私と目が合った杏奈は、勝ち誇ったようにドヤ顔を見せてきた。
友里亜は直人達に背を向けて、手鏡で髪を整えてる。
山本先輩に会う準備らしい。
どうせ自転車に乗って風に吹かれたら髪なんて乱れまくるのにね。
「大丈夫。可愛いから」
「え?あ……も、もう、里花ってば」
ふわっと笑う友里亜は今日もやっぱり可愛い。
もし花に例えるなら、やっぱり可憐な百合かな。
今朝、庭で向日葵が咲いていることに気づいた。
母曰く、私の名前の由来らしい。母の好きな場所“ひまわりの里”から取ったんだって。
けど、一途に太陽を見つめるその姿から、私は目をそらして家を出た。
一途さなんていらない。
小さくてもいいから、少しでもいいから、可憐さを持つ花になりたかった。
もう、今さらだけど。
夏休み中に、肩下まで伸びた髪はバッサリ切り落とした。
ありきたりだけど、失恋と髪を切るのはセットでしょ?
私の髪は、大樹先輩への想いと一緒に、美容室へ捨ててきたんだ。
みんなには少年みたいだって笑われたけど、巻く必要のなくなった頭は妙に軽くて清々しくて、楽チンで。
少しだけ空が近く感じた。
「だって好きなんだもん。いーじゃん。ね?一緒に帰ろ」
夏休み明け、下校時刻になると、毎日こんなやり取りが直人と杏奈の間で行われてる。
けど、全否定だった直人が、最近は3回に1回「しょうがねぇな」って杏奈に負けるようになってきたんだ。
ちょっとした進歩?
「ったく。しょうがねぇな」
ほら。今日も杏奈の勝ちだ。
私と目が合った杏奈は、勝ち誇ったようにドヤ顔を見せてきた。
友里亜は直人達に背を向けて、手鏡で髪を整えてる。
山本先輩に会う準備らしい。
どうせ自転車に乗って風に吹かれたら髪なんて乱れまくるのにね。
「大丈夫。可愛いから」
「え?あ……も、もう、里花ってば」
ふわっと笑う友里亜は今日もやっぱり可愛い。
もし花に例えるなら、やっぱり可憐な百合かな。
今朝、庭で向日葵が咲いていることに気づいた。
母曰く、私の名前の由来らしい。母の好きな場所“ひまわりの里”から取ったんだって。
けど、一途に太陽を見つめるその姿から、私は目をそらして家を出た。
一途さなんていらない。
小さくてもいいから、少しでもいいから、可憐さを持つ花になりたかった。
もう、今さらだけど。
夏休み中に、肩下まで伸びた髪はバッサリ切り落とした。
ありきたりだけど、失恋と髪を切るのはセットでしょ?
私の髪は、大樹先輩への想いと一緒に、美容室へ捨ててきたんだ。
みんなには少年みたいだって笑われたけど、巻く必要のなくなった頭は妙に軽くて清々しくて、楽チンで。
少しだけ空が近く感じた。