Bloom ─ブルーム─
その隣で、力なく手を下ろしたその人の茶色い髪が風になびいて。
私の飛ばした紙飛行機が健さんの手のひらに届く瞬間、私はグラウンドへ向かって駆け出した。
私と反対に、少し髪を伸ばした大樹先輩。
体育を終えて教室に戻ると、2人の姿はとっくになくなっていたけど。
甘いダウニーの香りがそこに残されてるような気がして、胸が苦しくなった。
「仲直り、したみたいだね」
私の机の上に残された紙飛行機を手に取り、友里亜が心配そうに私を見つめてたっけ。
瞼を閉じれば、敏感になった耳に、外からのたくさんの話し声や笑い声が届く。
楽しそう。
まだ終わらない夏を精一杯駆け抜ける……そんな感じ。
なんて。
もしかしたらひとつひとつの話題は『今日の夕飯は何かな』とか、そんなものなのかもしれないけど。
風と一緒にここまで届くざわめきが、青春してるっぽく聞こえて、羨ましくなった。
目を開けると、友里亜がまだ心配そうに私を見つめていた。
「あ、ごめん、友里亜。気にしないで帰りなー。山本先輩待ってるでしょ?」
「うん……」
なぜだか、自分が失恋したみたいな情けない顔をする友里亜。
どっちが傷心なんだかわからなくなる。
夏休み中だって、本当は山本先輩に会いたかったはずなのに、毎日のように私に会いに来てくれた。
だから、「平気だよ」って笑ったつもりだけど、友里亜には「無理して笑ってるのを見てる方が辛い」って言われたんだ。
そしたら、うまく笑う方法を見つけられなくなった。
私の飛ばした紙飛行機が健さんの手のひらに届く瞬間、私はグラウンドへ向かって駆け出した。
私と反対に、少し髪を伸ばした大樹先輩。
体育を終えて教室に戻ると、2人の姿はとっくになくなっていたけど。
甘いダウニーの香りがそこに残されてるような気がして、胸が苦しくなった。
「仲直り、したみたいだね」
私の机の上に残された紙飛行機を手に取り、友里亜が心配そうに私を見つめてたっけ。
瞼を閉じれば、敏感になった耳に、外からのたくさんの話し声や笑い声が届く。
楽しそう。
まだ終わらない夏を精一杯駆け抜ける……そんな感じ。
なんて。
もしかしたらひとつひとつの話題は『今日の夕飯は何かな』とか、そんなものなのかもしれないけど。
風と一緒にここまで届くざわめきが、青春してるっぽく聞こえて、羨ましくなった。
目を開けると、友里亜がまだ心配そうに私を見つめていた。
「あ、ごめん、友里亜。気にしないで帰りなー。山本先輩待ってるでしょ?」
「うん……」
なぜだか、自分が失恋したみたいな情けない顔をする友里亜。
どっちが傷心なんだかわからなくなる。
夏休み中だって、本当は山本先輩に会いたかったはずなのに、毎日のように私に会いに来てくれた。
だから、「平気だよ」って笑ったつもりだけど、友里亜には「無理して笑ってるのを見てる方が辛い」って言われたんだ。
そしたら、うまく笑う方法を見つけられなくなった。