Bloom ─ブルーム─
今の私は、ちゃんと笑えてるかな。

「てか、友里亜、ちゃんと寝てる?なんだか友里亜の方が具合悪そうで見てられないよ」

私のせいかな。

元気のない友里亜は、クマを作って青白い顔をしてる。

「私は大丈夫だからさ、あんまり考えすぎないで、楽しくいかなきゃね」

元気なふりをして友里亜に言ってみる。

そう言えば、こんな事を前にも言ったっけ。

初めて山本先輩と帰る約束した、あの日。

友里亜も同じことを考えたのか、「あのときみたいだね」と、呟いた。

そうだ、あの日、初めて自転車2人乗りしたんだ。

本気の坂道競争して、急ブレーキで先輩を振り落とした。

あのときの驚いた先輩の顔を、今でも鮮明に思い出せる。

懐かしさと可笑しさが重なって、友里亜と顔を見合わせて吹き出した。

大丈夫。きっと笑えてる。

その笑顔のまま、友里亜の背中をポンと押した。

こうして背中を押してあげないと、絶対に自分から教室を出ていこうとしない彼女だから。

多分、自分だけ山本先輩と一緒にいるのが申し訳ないとさえ感じちゃってるんだ。

おひとよしなんだから。

「こんなんで友里亜達までギクシャクしちゃったら、もっとやだよ?」

さらに背中を押すと、友里亜はやっと歩き出した。

でも今日はなぜか振り返ってこんな事を言う。

「ねぇ、里花?世の中のカップルがみんな100%うまくいってるわけじゃないと思うの」
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