Bloom ─ブルーム─
「でも、半年よくもったよ。1人で。無謀だけど、1度決めたら迷わずに突っ走るとこは尊敬してる。

あー、で、その先輩に一緒に住まないかって言われてて。今、健の家の裏にあるボロアパートに住んでるんだけど。

俺、妹産まれたら先輩んとこ行こうと思ってたんだ。

それを健に話したら、んじゃ、いっそのこと学校やめて2人で東京行っちゃえば?って言われて、それもいいかもねって笑ってたんだよね。

そしたら安田先輩も2人ならなんとかなるかもとかってマジになるから、俺はちょっと慌てたんだけど。

健、だから、こんなことしたのかも」

先輩は退学届をヒラヒラさせて見せた。

冗談ぽく笑う先輩に、私は不安な気持ちを見透かされないように笑い返した。

安田先輩のとこ行くつもりって……その気持ちは今も変わらないのかな。

やっぱり新しいお母さんと家族をするのは難しいのかな。

安田先輩って人に無理矢理東京へ連れて行かれることは……ないんだろうか。

けど、私の不安はすぐに気づかれたみたい。

「さっき病院行った時に、引っ越すのやめようって決めたけどね」

すぐに安心できる言葉をくれた。
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