Bloom ─ブルーム─
なのに、そんな私の胸ぐらクイッとつかんで

「ダチがやったことの落とし前つけんのがあんたの務めでしょうが」

なんて言う杏奈。

落とし前って。

もしかして、友里亜達のこと?

「気が向いたらね」

曖昧な返事をして、そそくさと私はその場を逃げ出した。

ラーメン屋の話なんてするんじゃなかった。

「ちょっと、気が向かなくても連れてくよー!!」

杏奈は容赦なさそうだし。

とりあえず、ここは逃げるが勝ち。



教室に着くと、友里亜がまた直人に背を向けて手鏡を見てた。

「もう、そんな必要ないでしょ?」

後ろから近づき、スッと友里亜の手元から手鏡
を抜き取ると、振り返った友里亜は直人と視線を絡ませる。

友里亜は慌てて目をそらしていたけど。

でも、どこかほっとしてるみたいな穏やかな顔をしてる彼女。

「昨日、ありがとう」

「ううん。直子とご飯食べたの?」

「直子?誰?」

やっぱり天然な友里亜は本気でキョトンとしてる。可愛い。

「あ、もしかして直人の直子?ぷぷぷッ」

やっと気づいた友里亜は「あの後ね、直人がね自分のこと『アタシ』って言ってね、」と、思い出し笑いを始める。

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