Bloom ─ブルーム─
寂しさと罪悪感を含んだ、簡単じゃない気持ちがそこに表れていて少しだけ切ないけど。

でも、どこかに芯の強さを感じる。

やっと見つけた迷路のゴールに到着した感じ。

「勇くんに電話したらね、私が話し出す前に、バンドに専念したいからって、逆に振ってくれたんだ。それが、勇くんの優しさだと思うと申し訳なくて。

でも、好きになって良かった」

「うん」

まだ山本先輩の話をすると胸が痛むみたいだったけど、目の前の霧がやっと晴れたような友里亜の顔が、見てて清々しかった。




今日は雲ひとつない、晴れやかな空。

あのライブの日に降った雨がやっと止んだような気分。

止まない雨はない。

きっと、私も、この胸の痛みが晴れる時が来るんだよね。

昨日のあれは、きっと先輩がくれた最後の優しさなんだ。

私が立ち直る為のオマジナイ。

それ以外の特別な意味なんてあるわけない。

そうやって昨夜からずっと自分に言い聞かせてる。

無理矢理でもそう考えていないと、簡単に私の心は大樹先輩でいっぱいになってしまうから。

目を閉じれば簡単に蘇る温もり……。

昨日見た夜の庭に浮かぶ向日葵まで、瞼の内側をまとわりつく。

一際鮮やかに。

それは、目をそらす私に、一途な想いは消えないよって、追い打ちをかけるよう。

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