Bloom ─ブルーム─
ダメダメ。

変な考えを打ち消すように両頬をペチペチと叩くと、授業の準備をした。

そしたら、教科書の間からポロッと落ちる、いつかの紙飛行機。

鞄の中に入れっぱなしだったっけ。

そこに印刷された顔を見れば、また胸が熱くなる。


──先輩のせいなんだから。

せっかく忘れようと頑張ってたのに。

トクトク響く先輩の鼓動が頭から離れない。

昨日の夜の出来事を思い出すだけで、胸が締め付けられて息苦しくなる。

やっと少しは普通に話せるかも?なんてホッとしたのも束の間。

あんなことされたら、また先輩の顔をまともに見れなくなるよ。

あんなオマジナイなんて、欲しくなかった。

床に落ちた紙飛行機を拾うと

「机の中に何か入ってるよ?」

後ろの席の友里亜が声をかけてきた。

ん?

何も入っているはずのない机の中に手を突っ込むと、1枚の紙が指先に触れる。

取り出して見たそれは、4つ折りされたルーズリーフだった。

開いてみると

「放課後、教室で待ってます」

とだけ書かれてる。

名前は……裏返して見てみたけど、ない。

もしかして杏奈?

わざわざこんなめんどくさいことしなくたっていいのに。

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