Bloom ─ブルーム─
──迎えた放課後。
「直子、友里亜お願いね」
私は直人にそう言うと、教室を飛び出した。
今日1日悩んだ結果、杏奈にも大樹先輩にも見つからないうちに帰るという素晴らしい案を考えついたんだ。
私、かしこい!
今の状況を打開するにはもう少し時間が必要なんだ。
時間をもらって、たくさん気持ち整理して、立ち直る。
杏奈の寂しさを思うと胸が痛むけど、それとこれとは話が別。
今度絶対何か奢るから!
と、心に誓い、「廊下走るなよ」って注意する先生に「サヨナラッ」と挨拶して走り去る。
玄関に着くとすぐに靴を履き替えた。
そして周りをキョロキョロと確認し、立ち上がった時。
「平澤さん!」
誰かが私を呼び止めた。
「ん?」
振り返ると、すぐそばに同じクラスの高橋君がはぁはぁと息をきらして立っている。
私を追いかけて走ってきたのかな。
「どうしたの?」
「はぁはぁ、手紙、読まなかった?机の中に入れたんだけど」
手紙?
『放課後、教室で待ってます』
あれのこと?
「手紙って、高橋君がくれたの?てっきり杏奈からかと……」
「あ、名前、書かなかったっけ?」
「うん。なかったよ?」
「ごめん。忘れてた」
「ううん、いいんだけど」
えっと、用事は何だろう?
早く終わらせて帰らないと2人に鉢合わせてしまう。
ソワソワしながら高橋君の次の言葉を待った。