Bloom ─ブルーム─
ゴン!

その時、後方からげんこつが降ってきた。

「いたっ」

振り返れば、仏頂面の直人。

「ちょっと直人、あれ、何なの?どうなってるの?」

「はぁ。まぁ、見たまんまだよ」

ガックリ肩を落として、相手が相手だからもう無理だなんてぶつぶつ呟いてる。

「てか、何でそんな展開になってるの?何があったの?」

「最初カラオケ大会で盛り上がってたんだけど、俺らのクラスの奴が急に友里亜にステージ上から告白して。そしたら俺も俺もってみんなして告白し始めたんだよ」

まぁ、友里亜の事好きな人は半端なくいたわけだし、それはあり得る。

「そしたら、それを聞いてた山本先輩が、そんなにモテモテな友里亜ってどの子?って聞き出して、友里亜は隠れたんだけど、友里亜の周りにいた奴らが、ここにいるって騒いで。

んで、結局ステージ上に連れてかれて、友里亜を見た山本先輩が気に入っちゃったってわけ」

「で、何?付き合ったの?」

「さぁ。わかんないけど、俺がもらうとか言って、それからずっと友里亜をあんな感じで隣に保管したままなんだよ」

うそー……。

友里亜すごいじゃん。相思相愛?こんなに早く恋が成就しちゃうなんて。

しかもあの有名人と。

って!違う!

山本先輩はただのカモフラージュだったはずだ。

私は再びステージに視線を向けた。

やっぱり。

そこには、山本先輩の隣で、戸惑いを隠しきれないでいる友里亜がいた。


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