Bloom ─ブルーム─
「直人、まずいよ。友里亜救出しなきゃっ」

「あの山本先輩に立ち向かって行けっつーの?冗談じゃねーよ」

「でも、友里亜が!」

「好きな奴のそばにいれるんだから、いーだろ」

完全にヤケになってる直人。

でも、友里亜のあの目は、絶対に私達の助けを待ってる。

直人が無理なら……私がいくしかない!

「いいよ、意気地無し!」

私は直人に吐き捨てるようにそう言うと、人混みを押し分けてステージの方に向かった。

ステージでは女子や3年生まで混じって未だに長谷川大樹いじりが続いてる。

なのに、もみくちゃにされながらやっぱり笑ってる彼。

その横で山本先輩は相変わらずの大笑い。

友里亜の気持ちも知らずに。

なんとかかき分け、ステージの真下までたどり着いた私を、真っ先に見つけたのは、瞳を潤ませた友里亜だった。

「り、里花ぁ~」
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