Bloom ─ブルーム─
2013年 7月──
冬の終わりが特に遅かった今年。
入学式当日も、ちらつく雪を肩に乗せて登校となったけれど。
遅咲きの八重桜が散る頃、やっと私達の町にも夏がやってきた。
高校生になって初めての夏。
そして、初めての学祭。
その、最終日。
“初めて”続きの中で、私は、さらに初めての体験をしようとしていた。
「左側にいる、ほらベースの人!カッコいいでしょ?お化けの時よりやっぱり素敵」
興奮して叫ぶように話す隣の友里亜(ユリア)。
昨日2年生の出し物のお化け屋敷に行った時に、お化け役に一目惚れしたんだって。
幼馴染みの直人(ナオト)に情報集めをお願いして、そのお化けがバンドマンだと知ったのはついさっきのこと。
それが今日体育館でライブを開くなんて聞いたものだから、私達は大興奮でここにやって来たんだ。
でも、正直私はその場の空気に圧倒され、立っているのがやっと、という感じだった。
キャーキャーという耳に響く黄色い歓声と、ドラムやギターの爆音が私の頭の中をぐちゃぐちゃに掻き回してる。
みんなのパワーがすごすぎる……。
初めて体験する、学祭ライブ。
ここに来るまでは、面白そう!なんて好奇心でいっぱいだったのに。
実際は予想以上の盛り上がりで、些か尻込み。
でも、それより何より、あのお化け屋敷で一目惚れする余裕があった友里亜にびっくりだ。
私なんて、突然暗闇の中でリアルなお化け(これが友里亜の恋した相手らしい)が出たかと思ったら下から伸びてきた白い手に足首を掴まれ、腰を抜かして歩けなくなったって言うのに。
冬の終わりが特に遅かった今年。
入学式当日も、ちらつく雪を肩に乗せて登校となったけれど。
遅咲きの八重桜が散る頃、やっと私達の町にも夏がやってきた。
高校生になって初めての夏。
そして、初めての学祭。
その、最終日。
“初めて”続きの中で、私は、さらに初めての体験をしようとしていた。
「左側にいる、ほらベースの人!カッコいいでしょ?お化けの時よりやっぱり素敵」
興奮して叫ぶように話す隣の友里亜(ユリア)。
昨日2年生の出し物のお化け屋敷に行った時に、お化け役に一目惚れしたんだって。
幼馴染みの直人(ナオト)に情報集めをお願いして、そのお化けがバンドマンだと知ったのはついさっきのこと。
それが今日体育館でライブを開くなんて聞いたものだから、私達は大興奮でここにやって来たんだ。
でも、正直私はその場の空気に圧倒され、立っているのがやっと、という感じだった。
キャーキャーという耳に響く黄色い歓声と、ドラムやギターの爆音が私の頭の中をぐちゃぐちゃに掻き回してる。
みんなのパワーがすごすぎる……。
初めて体験する、学祭ライブ。
ここに来るまでは、面白そう!なんて好奇心でいっぱいだったのに。
実際は予想以上の盛り上がりで、些か尻込み。
でも、それより何より、あのお化け屋敷で一目惚れする余裕があった友里亜にびっくりだ。
私なんて、突然暗闇の中でリアルなお化け(これが友里亜の恋した相手らしい)が出たかと思ったら下から伸びてきた白い手に足首を掴まれ、腰を抜かして歩けなくなったって言うのに。