Bloom ─ブルーム─
「はい、キミの好きな人は誰ですか?」

黙ったままの私を急かすように、司会者が聞いてきた。

好きな人?

一瞬、長谷川大樹の笑顔が頭をよぎった。

違う、違う!

今はそんなんじゃなくて、この状況をどう切り抜けるか考えなきゃ。

友里亜は心配そうに私を見つめていた。

あーもー!ヤケクソだ!

「河上直人!あなたに話があります!ステージまで来てください」

私は直人の名前を呼んだ。

急に顔を曇らせる友里亜と、真っ青になる直人。

直人の周りにいたクラスメート達が囃し立てる。

「直人!やるじゃん!行ってこいよ」

ピューッ。口笛まで吹かれる始末。

そして渋々上ってきた直人に

「ずっと好きでした。付き合ってください。もし無理ならなんで無理なのか話してください。じゃないと諦めきれません」

一気に言ってやった。

どーよ?

これで逃げられないでしょ?

それを聞いた直人は、あぁ、と片手で頭を抱え

「お前ねぇ……」

深い深いため息をついた。

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