Bloom ─ブルーム─
次の瞬間、私は司会者の隣にあった踏み台を運び、その上に乗り、直人の胸ぐらを掴んでいた。

「男にはね、やらなきゃならない時っていうのがあるんだよ!わかる?」

「……はい」

「はい、じゃない!言わなきゃならないことがが他にあるんでしょ?そんなんだから万年幼なじみなんだよ!意気地無し!」

最初は圧倒されていた直人だったけど、目が覚めたのか、ふーっと大きく息を吐き出すと、今度は力強い視線を見せてきた。

そして、私の頭の上に手を乗せると

「さんきゅ」

小さく呟いて、友里亜と山本先輩のところへ歩み寄る。

私の役目はおしまい。

友里亜にこっそりピースすると、友里亜は何がなんだかわからないと言う戸惑いに満ちた顔をしていた。

もう大丈夫。

私はそっとステージを降りて、人混みに紛れて体育館を後にした。

こんなんだから、私はいつまでも彼氏できないんだろうな。

キレるとついやらかしてしまう。

結果オーライだけどさ。

でも、きっと、男の人はみんな、友里亜みたいに可愛らしくて、おっとりした女の子が好きなんだろうな。
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